安全で質の高いラフティングを提供したい そんな熱い想いを胸に活動を続ける“RAJ”の歩みと取り組みをご紹介!

一般社団法人ラフティング協会
RAFTING ASSOCIATION of JAPAN

ラフティングイメージ

今やリバーアクティビティの代名詞といっても過言ではないラフティング。日本では北海道から熊本まで各地の河川でツアーが行われており、白く泡立つ急流を下るスリルと参加者同士で力をあわせて漕ぎ進める達成感と連帯感から、一度ならず何度も体験するリピーターも多いアクティビティです。
そんなラフティングに全国的な組織となる協会があることは、あまり知られていません。自然の川、それも急流や激流がフィールドとなるラフティングにおいて、ツアーの催行に安全管理は必要不可欠!日本の河川で安全に楽しくラフティングができるよう設立・運営されているのが「一般社団法人ラフティング協会=RAJ(RAFTING ASSOCIATION of JAPAN)」なのです。
日本でラフティングを楽しむ上で、「RAJ」というキーワードはひとつの目安となってきています。この特集ではRAJがどういった組織でどのようにラフティングツアーの安全を保っているのか、ご紹介していきます。

RAJってどんな組織?

設立されたのはいつ?

1997年5月に設立され、約20年の歴史があります。まだ国内に商業ラフティングを行う事業者が少なかった頃、安全管理面における規約やサービス向上についての施策がないまま運営されている現状に危機意識を持った複数の事業者間で、自発的に設立されました。

加盟している会社はどのくらい?

北海道から熊本まで、44社が加盟しています(2017年1月現在)。

どんな活動をしているの?

主な活動内容は以下の5つ。

  • ラフティング技術の研究・普及および指導
  • 安全基準・運行規定・装備基準の設定
  • 資格認定基準の設定および公認指導員の育成
  • 事故防止対策の研究、安全管理の徹底
  • 国内外の関連諸団体との情報交換、関係構築

RAJには、安全管理と技術向上を目指す「技術安全部会」、広報活動を担当する「広報部会」、海外団体との関係構築を図る「国際部会」という3つの部門があり、それぞれの担当分野で活動を進めています。

RAJロゴRAJ認定書

RAJの特徴は?

ラフティングの公的なガイドライセンスを発行している国内唯一の機関です!RAJに加盟している会社のリバーガイドは、すべてこのガイドライセンスを取得しています。
また、安全管理を徹底するため「トリップリーダー制度」を導入。2年以上の経験があり、4年に一度研修を受けているシニアガイドがトリップリーダーとなり、加盟会社がツアーを催行する際には、必ずトリップリーダーを同乗させるというルールがあります。

商業ラフティングの勧め 〜代表理事 青木勇さんのコメント〜

約30年ほど前より、ラフティングが急速に普及し全国に広がりました、この遊びは一人ではできず、ガイドとクルー(乗員)がコミュニケーションを取り、急流を一つ一つクリアーをしていき、達成感と連帯感を皆で共有しチームプレイの重要さを体験できる、数少ない遊びの一つです。
自然に身を置き、五感を通じて全身で楽しめるラフティングはアウトドアスポーツの代表であり、一般の人が手近に楽しめるのが、商業ラフティングです。
しかしながら、危険とも隣り合わせなのでしっかりとした運営会社のガイドの下で楽しんでほしいものです。
安全に川下りをする為に、危機管理と責任能力のある(社)ラフティング協会加盟の会社をお勧めいたします。

写真:(社)ラフティング協会 代表理事 青木勇さん

ラフティング協会 代表理事
青木勇さん

RAJが認定するリバーガイドについて知ろう!

RAJに加盟する会社のガイドは、全員がリバーガイド試験の合格者。合格しなければ、ツアーでガイドをすることはできません。また、リバーガイドになったあとはシニアガイド、その後は試験を審査する側であるテスター、検定官といったステージが用意されています。
まずは基本的な知識や技術を身につけたリバーガイドになり、その後はさらなる技術の研鑽や指導者的立場となることを目指してステップアップしていく仕組みになっています。

ガイドの仕組み

図:ガイドの仕組み
  • リバーガイドの達人!マスターガイド試験で認定されたガイド。RAJの技術向上と安全管理を統括する「技術安全部会」を率い、ガイドマニュアルを制定・更新している
  • 1年に2回以上テスターを経験し、検定官に推薦されたシニアガイド。リバーガイド試験を主催し、審査を行う
  • 合格後も毎年更新が必要!

認定試験は筆記と実技の2つ!

リバーガイドの認定試験は筆記と実技の2種類があります。パドルワークやボートコントロールといったラフティングの基礎はもちろん、救急法やレスキューの知識・技術も問われます!

○筆記科目
ラフティングの基礎知識、安全管理、救急法、指導者行動基準について
○実技科目
基本技術検定 (パドルワーク、タイム測定など)
基本指導技能検定
(デモンストレーション技能、装備説明など)
レスキュー技能検定
(ロープワーク、ロープレスキュー、牽引レスキューなど)

ガイドたちの交流を図るこんな取り組みも!

日本全国に900名以上もいるRAJのリバーガイド!そのリバーガイドが集結する「リバーガイドミーティング」が年に一度開催されています。
リバーガイドミーティングではガイドの各種講習会・研修会が実施されるほか、各会社のガイドが積極的に交流するを図っています。
他社のサービスを知ったり、他ガイドの技術に触れることはとても貴重な機会。ガイドたちはリバーガイドミーティングで得たものを持ち帰り、自社のツアーに活かしていきます。

>>そんなリバーガイドミーティングにそとあそびが飛び入り参加!その模様はコチラでご紹介しています。

「RAJの歩みと役割、そして未来について」
RAJ副理事長インタビュー

RAJの設立メンバーであり、長良川・吉野川でラフティング会社を展開するODSSの代表取締役である副理事長の北川さんに、日本のラフティング業界を牽引するRAJの誕生から現在、そして未来について語っていただきました。

RAJを立ち上げたときの状況と設立への想い
創立20周年を迎えるRAJの今と担う役割
RAJの未来

RAJを立ち上げたときの状況と設立への想い

アウトドアの会社は自身を戒め、クオリティー維持に努めることが必要

日本にラフティング会社がまだ20社もなかった頃、ガイドの資格認定制度や保険加入を必須とした安全管理、法令遵守、クオリティの維持などの規約を定めた協会を作ろうという話になりました。というのも、ラフティングは会社をつくったりツアーを催行するのに法律などのルールがない。バス会社なんかであれば道路運送法、旅行会社であれば旅行業法といった法律があります。でもラフティングは自由。川は法律的には道なので、好きに下っていいんです。それで自分たちで規定を設定した協会をつくって、日本のラフティングを健全発展させようという目標で各社に声をかけ、2007年に設立総会をしました。

ガイドの資格認定はどういう試験をするか、加盟する会社が整えておかなければならない安全管理、法務管理のチェックなど、細かい部分を作り上げていって今の形になりました。現場に安全管理ができる人間が必要だと考えて、2年以上の経験があってシニアガイドの研修を受けたトリップリーダーが同乗しなければツアーが催行できない「トリップリーダー制度」もつくりました。最初はだいぶ苦労をしたし、途中で脱会していく会社もありましたね。
野外・アウトドアの会社は簡単に営業ができてしまう分、自分たちをある程度戒めてクオリティを維持してやっていかないとよくなってはいきません。

写真:RAJ副理事長(ODSS代表取締役)北川健司さん

RAJ副理事長(ODSS代表取締役)
北川健司さん

創立20周年を迎えるRAJの今と担う役割

写真:年に一度開催されるリバーガイドミーティング、夜の部(2015年長瀞)

年に一度開催されるリバーガイドミーティング、夜の部
(2015年長瀞)

業界の風通しをよくして、交流を図る重要な場

現在は各会社の参画性もしっかりしているし、協会に入っているメリットも感じてくれています。RAJに加盟している半分はスタッフが5人以下とか社員がいない小規模な会社ですが、「うちの会社は規定のしっかりある協会組織の一員だ」と、ガイドたちもRAJに加盟しているというステータスを持てる。狙っているわけではなくて、結果的にそういう流れになっています。風通しをよくして業界が交流する、協会にしていくということはすごく大事なことでね。競争って各社が横を見ながらお互い前進していこうとするもの。RAJのガイドたちはすごく仲がいいんです。どこの河川にいっても友だちがいる。これってガイドを続けたり、ガイドって仕事の良さを実感するにはすごく大事なことなんです。そのために、協会はすごく必要。ガイドたちが生き生きしてくれば会社も生き生きしてくる。そういうボトムアップを図るために、リバーガイドミーティングなどいろいろなことをやっています。

検定官・テスターからオーナーの育成まで

いま、各会社に検定官を置くようにしようと、テスターと検定官の育成に力を入れています。それで、日本全国どこでも同じクオリティーで資格試験ができる環境を整えるのが目標です。RAJの資格認定試験は検定官1名とテスター2名で審査します。その中の1名は必ず他社の人間というルールもある。それで審査の公平性を保つんですね。

リバーガイド試験ではラフティングやレスキューの基礎を見ますが、シニア・リバーガイドの講習ではリスクマネジメントが占める割合も大きくなります。現場でどういう安全管理、顧客管理をしなければならないか。まさに現場の管理者の育成です。これを会社独自でやろうと思ったらなかなか大変ですよね。ツアーの安全性が高まるすごくいい講座だと思っています。

ガイド試験や講習のほかには、春の総会で「エグザミナーミーティング」があり、保険に関する勉強会なんかをしています。エグザミナー(会社の代表者)自体を育てることもやっています。オーナーの意識が高くないと現場も高まりません。

写真:テスター・検定官講習(2016年富士川)

テスター・検定官講習(2016年富士川)

写真:リバーレスキュー講習の様子(2015年吉野川)

リバーレスキュー講習の様子(2015年吉野川)

社会的に当たり前なことを当たり前にできているように

ツアーを催行しているとお客さんからのクレームも出てきますが、その解決も協会事務局でやっています。あと重要なのは事故が起きたときの対応。事故報告、事故検証、再発防止策の作成といったことも協会でしています。RAJとしてはラフティング会社として営業するということは、利害関係が発生すると考えます。そのため、入会には地域の同業者との調整が必須ですし、法律的には必要がないのですが、地域の警察・消防署への届出も義務化しています。社会的に当たり前と思われていることを当たり前にできている、そういった組織にしています。
各河川の安全管理というのもRAJの加盟会社が率先して行っています。RAJではシニアガイドに向けてレスキューワークショップを行ってるんですね。各地方ブロックごとにいる技術安全部会員が中心になって、長良川は長良川、吉野川は吉野川というようにレスキューの訓練をしている。それで川が荒れたときは各会社のシニアガイドが集まって安全チェックをします。どこに流木があるとか、流れが変わっていないかとか。それでOKが出ないと川をオープンにしないんです。RAJの会社が率先してやるけども、それに非加盟の会社も同行する。川ごとにRAJの支部はあるのですが、基本的には加盟・非加盟問わずその川で営業している全社で組合をつくることを推奨しています。自分たちだけが安全ならそれでいいというわけではないですから。河川全体で安全管理が高まればいいと思っています。

RAJの未来

ラフティング業界みんなで協会をつくっていきたい

営業的にはライバルでも、現場では各社が仲良くしなきゃと思っています。お互いにレスキューしなきゃいけない時があるかもしれない。何よりも川でいがみあっていたら、お客さんにもわかってしまいますよね。現場では極力仲良くして、どこも地域組合をつくってレスキュートレーキングを一緒にやるというふうになってほしい。

RAJという組織の整備はある程度できてきました。ただ、公式HPをもっと作り込んでいくことも必要。それからラフティングが安全で楽しいアクティビティで、教育旅行にも向いていることなどまだまだ営業しなきゃいけないことはいっぱいあります。我々としては、たくさんの会社に加盟してほしい。業界みんなで協会をつくっていきたいという思いがあるから、オープンな協会にして入会しやすくしていくことは大事だと思っています。「入らなきゃダメかな」と思わせるぐらいの協会にしていかなきゃいけないですよね。

世間の視線があると会社の意識って変わっていくんです。お客さんが望む、社会が望む、そんな魅力的な協会をつくっていくことが、各会社をよくしていくと思っています。

写真:シニア・リバーガイド講習を終えて笑顔のガイドさんたち(2015年吉野川)

シニア・リバーガイド講習を終えて笑顔のガイドさんたち
(2015年吉野川)

RAJ加盟会社一覧